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大正時代の建物を改装し工房にしています。外見は純日本建築ですが、玄関からホールまでが大正時代らしい和様折衷の少し珍しい建物で、ホールはギャラリーとして使っています。庭が見渡せる部屋を工房に使用しています。一日で一番長く居る場所が仕事部屋なので、一番居心地の良い部屋を選びました。

仕事の合間によく庭を眺めています。細かい作業が何日も続くことが多いので、少しでも自然を感じ、リラックスすることを心掛けています。庭の木々や訪れる小鳥たちが四季折々の変化を見せてくれます。庭の手入れがもっぱらの趣味で、いつも“自然との共存”という日本の伝統的な価値観を強く感じさせられます。漆芸品の制作には“漆の性質”、すなわち“自然”を受け入れることが必要です。そのような意味では両者はとても良く似ています。また、そのことに違和感を覚えない自分に気付くとき、自分が日本人であることを強く感じます。

私は下地・塗り・蒔絵・螺鈿工程などの漆芸の範疇以外の、素地や金具制作まで、ほとんどすべての工程を自身で行っています。扱う素材も道具も多いので、工房は住居を兼ねた母屋と納屋の2棟を使っています。母屋には漆工及び金工室と、コンピュータデザイン・加工室があり、納屋は主に木工及び螺鈿材料の加工に使用しています。

工房にある多くの道具は自作かオーダーメイドで作った道具です。扱う分野が多岐に及ぶので、道具や素材に関する研究は常に行っています。漆工用地の粉は、医師であり工芸愛好家でもある知人と共同で開発し、製品として市販されています。勿論、私の作品のすべてはこの地の粉を使用しています。

母屋の一室を資料室にして、調べ事や図案を描くときに使っています。漆に関する書籍で必要と判断したものは可能な限り収集しました。また、資料として必要と判断した漆工品は現品を手元に置くことを心掛けています。特に螺鈿材料には興味があるので、富山杣田などかなり珍しいものもあります。私は出不精なので、基本的に調べ事も仕事も研究も、工房内ですべて済むようにしています。

私の作品はほとんどが掌に乗るくらいの大きさですが、一つの作品を完成させるにはかなり広いワークスペースと多くの時間を要します。制作においては、極力、妥協の無いものを心掛けています。思えば、制作環境を構築することにも同じくらいエネルギーを注ぎ込んだような気がします。

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